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Ⅲ 派遣労働者を受け入れる際に注意すべきポイント

Ⅲ 派遣労働者を受け入れる際に注意すべきポイント

1 派遣労働者、派遣元事業主、派遣先それぞれの法的関係(三面的法律関係)

 労働者派遣法に基づく労働者派遣における派遣労働者、派遣元事業主、派遣先の三者間の関係については、次のとおりです。

(1)派遣労働者と派遣元事業主との関係

 派遣労働者は、派遣元事業主との労働契約に基づき派遣元事業主に雇用され、派遣先の事業所で派遣先の指揮命令を受けて就労します。

(2)派遣元事業主と派遣先との関係

 派遣元事業主は、派遣先との間で締結された労働者派遣契約に基づき自己の雇用する派遣労働者を派遣先の事業所に派遣し就労させるとともに、派遣先における業務の遂行上必要な限度において派遣労働者に対して有する指揮命令権の行使を派遣先に委ねています。

(3)派遣先と派遣労働者との関係

 派遣労働者は、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために就労します。

(4)労働者派遣契約の締結に際しての規制

 労働者派遣においては、派遣労働者を雇用する者(派遣元事業主)と指揮命令する者(派遣先) が分離するという特殊な形態で業務が遂行されることから、派遣労働者、派遣元事業主、派遣先の三者間で就業条件等を明確化し、トラブルの発生を防止し、適正な雇用管理を行う必要があります。したがって、労働者派遣法では、労働者派遣契約の締結に際し、派遣元事業主及び派遣先に対し、次の事項等についての措置を定めています。

  • ① 労働者派遣契約において、派遣期間中における派遣労働者の就業条件について定めること(労働者派遣法 26①)
  • ② 労働者派遣契約において、派遣先の都合で労働者派遣契約を解除するときは、派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当などの支払いに要する費用の負担等を定めること等(労働者派遣法 26①、29 の 2)
  • ③ 派遣労働者に対し、労働者派遣契約で定める就業条件等を明示すること(労働者派遣法 34)
  • ④ 派遣労働者の氏名その他必要な事項について、派遣元事業主から派遣先へ通知すること(労働者派遣法 35)

2 派遣労働者を受け入れる際に注意すべきポイント

 派遣先において派遣労働者を受け入れる場合の主なポイントについて説明します。

 なお、派遣先がこれらのポイントに違反した場合においては、都道府県労働局より助言・指導、勧告がなされる場合があり、勧告に従わない場合には、その旨が公表される場合があるため、注意が必要です。

<労働者派遣の流れと主なポイント>

 以下に派遣労働者を受け入れる場合に、派遣先として特に注意が必要なポイントをお示ししています。

(1)期間制限(労働者派遣法 40 の 2①④⑤、40 の 3)

 派遣先事業所単位の期間制限と派遣労働者個人単位の期間制限があります。

 派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です。派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合など※からの意見を聴く必要があります。

※過半数労働組合が存在しない場合、事業所の労働者の過半数を代表する者

 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定) に対し派遣できる期間は、3年が限度です。

※以下の人・業務は例外として期間制限の対象外となります。
  • ・派遣元事業主で無期雇用されている派遣労働者
  • ・60 歳以上の派遣労働者
  • ・有期プロジェクト業務(事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定期間内に完了するもの)
  • ・日数限定業務(1か月間に行われる日数が通常の労働者に比べ相当程度少なく、かつ、月 10 日以下であるもの)
  • ・産前産後休業、育児休業・介護休業などを取得する労働者の業務
※意見聴取手続

 事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長する場合、派遣先は、その事業所の過半数労働組合など※に対して意見をきく必要があります。

※過半数労働組合が存在しない場合、事業所の労働者の過半数を代表する人
  • ・意見聴取は、事業所単位の期間制限の抵触日の1か月前までに行うことが必要です。
  • ・過半数労働組合などから異議が示されたときは、対応方針などを説明する義務があります。
<補足>日雇派遣・グループ企業派遣の制限
  • ・派遣元事業主との労働契約の期間が 30 日以内の労働者は、労働者派遣が原則禁止されています。
※ソフトウェア開発などの政令で定める業務や、60 歳以上の人、学生、副業として従事する人、主たる生計者でない人は例外
  • ・派遣元事業主が属するグループ企業への派遣は全体の8割以下にすることが必要です。

(2)派遣契約の締結にあたって

 派遣元との労働者派遣契約の締結にあたっては、以下の点に注意が必要です。

① 事前面接の禁止
  • ・紹介予定派遣の場合を除き、派遣労働者を指名すること、派遣就業の開始前に派遣先が面接を行うこと、履歴書を送付させることなどは、原則的にできません。(労働者派遣法 26⑥)
② 適切な派遣契約の締結
  • ・港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院等における医療関連業務(紹介予定派遣等の場合は例外)は派遣が禁止されていますので、派遣労働者をこれらの業務に従事させることはできません(労働者派遣法 4③)。
  • ・労働者派遣契約を締結する前に、派遣元事業主に対して、事業所単位の期間制限の抵触日の通知を行う必要があります。(労働者派遣法 26④)
  • ・労働者派遣契約では、業務内容などの他に、派遣先の都合による労働者派遣契約の中途解除の際に、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項(派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用の負担に関することなど)についても定めることが必要です。(労働者派遣法 26①八)
  • ※ 令和2年4月1日から、平成 30 年改正労働者派遣法(以下「改正労働者派遣法」という。) が施行され、上記の内容に加えて、以下の点に注意が必要です。
    • • 派遣元事業主に対し、労働者派遣契約の締結に当たって、比較対象労働者の賃金等の情報を提供する必要があります。(改正労働者派遣法 26⑦)

(3)派遣就業にあたって

① 離職後1年以内の労働者の受入禁止
自社で直接雇用していた労働者(社員・アルバイト等。60 歳以上の定年退職者を除く。)を、離職後1年以内に派遣元事業主を介して、派遣労働者として受け入れることはできません。(労働者派遣法 40 の 9)
② 社会・労働保険の適用
受け入れる派遣労働者について、社会・労働保険の加入が適切に行われていることを確認することが必要です。
③ 派遣労働者からの苦情の処理
派遣先は、派遣労働者からの苦情の処理体制を整備しなければなりません。(労働者派遣法40①)
④ 派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成
派遣先は、受入事業所ごとに、派遣先責任者を選任し、派遣先管理台帳を作成しなければなりません。(労働者派遣法 41、42)
⑤ 労働者の募集情報の提供

 事業所で働く正社員を募集する場合、その事業所で継続して 1 年以上受け入れている派遣労働者がいれば、その派遣先の派遣労働者に対しても、正社員の募集情報を周知しなければなりません。(労働者派遣法 40 の 5①)

 派遣先の同一の組織単位の業務に継続して3年間受け入れる見込みがある派遣労働者について、派遣元事業主から雇用の安定を図るための措置として、直接雇用するよう依頼があった場合であって、その事業所で働く労働者(正社員に限らない)を募集するときは、その派遣労働者に対しても、派遣先の労働者の募集情報を周知しなければなりません。(労働者派遣法 40 の 5②)

⑥ 派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進
派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下について具体的な行動を行うよう配慮する必要があります。

  • ○ 派遣元事業主に対し、派遣先の同種の業務に従事する労働者に関する賃金水準の情報提供などを行うこと(労働者派遣法 40⑤)
  • ○ 派遣先の労働者に対して業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合には、派遣労働者にも実施すること(労働者派遣法 40②)
  • ○ 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室) の利用の機会を与えること(労働者派遣法 40③)
  • ※ 令和2年4月1日から、改正労働者派遣法が施行され、⑥については、上記の内容の代わりに以下の措置を行う必要があります。
    • ○ 派遣元事業主による労働者派遣法第 30 条の3又は第 30 条の4の規定に基づく待遇改善が行われるように、派遣料金について配慮すること(改正労働者派遣法 26⑪)
    • ○ 派遣先の労働者に対して業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施する場合には、派遣労働者にも実施すること(改正労働者派遣法 40②)
    • ○ 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用の機会を与えること(改正労働者派遣法 40③)

(4)労働者派遣契約の中途解除について

  • ① 派遣先は、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ、相当の猶予期間をもって派遣元事業主に派遣契約の解除の申入れを行うことが必要です。
  • ② 派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。(労働者派遣法 29 の 2)
  • ③ 派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも労働者派遣契約の中途解除によって派遣元事業主に生じた損害の賠償などを行うことが必要です。(労働者派遣法 29 の 2)

(5)労働契約申込みみなし制度

派遣先が以下の違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先から派遣元事業主との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものとみなされます。派遣労働者が承諾をした時点で労働契約が成立します。(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます。)(労働者派遣法 40 の 6)

(参考)対象となる違法派遣
  • ① 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  • ② 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  • ③ 事業所単位又は個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  • ④ いわゆる偽装請負の場合

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