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Ⅰ  配転

第17章 配転・出向・転籍

Ⅰ 配転

 従来の業務とは別の業務に従事する又は別の場所において勤務するものを配転(配置転換)といいます。勤務場所が変更することで労働者の住居の変更を伴うものは、転勤ともいわれます。

1 配転命令権

 配転については、我が国の雇用慣行からみると、従事する職種、勤務場所について特に契約することなく「会社のいう業務を会社のいう場所で行う」ということを前提に採用されるのが一般的です。

 このような状況下で、企業の配転命令権について、裁判例は配転のあり得ることを就業規則や労働協約などに規定することで、これが労働契約の内容となり、企業は配転を命令することができるとされています。

2 配転についての特約

 配転について、一般には就業規則などで、「業務の都合により配転を命ずることがある」旨の規定があれば、これを根拠として配転を命ずることができますが、配転に関して勤務地・職種限定等の特約があれば、特約が優先します。

(1)暗黙の了解事項によるもの

 この特約は、明示(書面等による。)の特約だけではなく、黙示の了解事項でも成立しますが、後日の紛争を避けるためには採用時に、文書等で明示しておくべきでしょう。

(2)地域限定の特約

 勤務場所限定の特約がある場合には、勤務場所の変更となる配転命令を出すことはできません。

 そのため、勤務場所自体が事業の廃止により消滅する場合には、他に配転できない以上解雇せざるを得ないことにもなります。もっとも、雇用の確保の面からは、あらためて勤務場所限定の特約のある労働者に対して配転について意向を確認すべきでしょう。

(3)職種限定の特約

 労働者の従事する業務を限定する職種限定の特約がある場合には、他の業務に従事することになる配転はできません。職種限定の特約が認められるのは、一般に、アナウンサー、看護師、運転手といった専門的業種です。

 したがって、職種限定の特約の存否は、職種の内容(具体的業務の内容)だけでなく、採用時の説明内容など労働契約締結時の事情、会社の慣行などから総合的に判断する必要があります。