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Ⅰ  安全衛生対策の基本

第18章 安全衛生管理

Ⅰ 安全衛生対策の基本

1 安全対策

 労働災害は、欠陥のある機械などを放置したまま運転し、労働者が機械に巻き込まれたり、有害物にさらされたりするなど、物と人とが接触することで発生します。

 このような労働災害を防止するためには、機械などの物が不安全な状態となっていないことと労働者の不安全な行動をなくすことが大切です。そして、このような状態や行動をなくすため、事業者(安衛法で規定される事業者。同法では「事業を行う者で、労働者を使用する者をいう。」と規定されています。個人企業では事業主本人、法人企業では法人そのものを指します。)などによる安全管理を進めることとされています。

 このため、事業場では、労働者数や作業の種類などによって安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、作業主任者などを選任することとされています。

 また、機械・設備などが安全であるためには、危険な箇所へのカバー、安全装置の適切な取付け、安全点検の実施などが必要です。

 そして、労働者に対し、危険作業などの就業制限業務には免許や技能講習による資格取得、安全衛生教育の実施などが必要です。

 そのほか、事業場や同種の事業場で発生した災害を分析し、同種の災害の再発を防止するための対策や作業手順を作成し、これによる作業を進めることも必要です。

2 労働衛生対策

 労働衛生対策の基本となるものは三つの管理、すなわち、①作業環境管理、②作業管理、③健康管理であり、相互に関連させ推進するとともに、労働衛生管理体制の整備、労働衛生教育の実施が必要です。

(1)労働衛生管理体制の整備

 事業場において労働衛生管理体制を確立することは、上記の三つの管理等の具体的な労働衛生対策を進めるうえで不可欠です。事業者は、労働衛生管理が事業遂行に不可欠な事項であるとの認識をもって、産業医、衛生管理者、衛生推進者等のスタッフに十分な権限を与え、その責任を明確化し、組織を整える必要があります。

(2)作業環境管理

 作業環境管理は、職場の作業環境の状態を把握するため、作業環境測定を行い、その結果を適切に評価し、環境の適否をチェックすることが基本です。そして、その結果の評価に基づいて設備等の改善、生産設備や局所排気装置の適正な整備、点検の励行等を行う必要があります。

(3)作業管理

 作業管理の進め方は、作業に伴う有害要因の発生を防止したり、ばく露を少なくするような適切な作業手順・方法を定め、徹底させることが基本です。保護具の適正使用なども重要なことです。

(4)健康管理

 健康管理とは健康診断及びその結果に基づく事後措置、健康測定結果に基づく健康指導までを含んだ幅広い内容を含むものです。疾病の早期発見のみならず、労働者の健康障害を未然に防止することに配慮し、適切な健康診断を実施するとともに、心身両面にわたる健康の保持増進対策を図ることも重要です。

(5)労働衛生教育

 労働衛生教育は、上記の三つの管理についての正しい理解を図るため、新規雇入れ時、作業内容変更時、危険有害業務に就かせるときなどに行うとともに、計画的、継続的な実施が必要です。また、作業者に対する教育とともに、管理者に対する教育も重要です。

3 労働者の安全(健康)への配慮義務

 通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供する設備、器具を用いて労働に従事するものであることから、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう、心身の健康を含めて配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされています(労契法5)。必要な措置は一律に定まるものではなく、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて必要な配慮をすることが求められています。

 なお、安衛法等労働安全衛生関係法令においては、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されており、これらは当然に遵守しなければなりません。

<参考>

陸上自衛隊損害賠償請求事件
  • 昭 50.2.25 最高裁第三小法廷判決
  • 「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理に当たって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解すべきである。」「右のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきもの」
川義損害賠償請求事件
  • 昭 59.4.10 最高裁第三小法廷判決
  • 「雇傭契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し、又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。」

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